Dying Message ~前編~
探偵業としてはあまり例が無い、刑事事件を取扱う探偵事務所がココにあります。
そう、その探偵事務所の名は特命探偵事務所と申します。
特命探偵事務所の代表であるこの男、大手探偵事務所に属さず、群れを嫌い、権威を嫌い、束縛を嫌い、テレビの取材を断り、専門的なライセンスと叩き上げのスキルだけで難事件を解決する、フリーランスの探偵であります。
特命探偵事務所は創業14年目、創業来、年中無休で調査対応に追われ、毎日、いろいろな悩みを抱える方々のお話もお聞きしております。
会社のご紹介はこのへんにいたしまして…
平成30年1月9日、世間はお正月ムードから日常を取り戻しつつある最中、福島県二本松警察署刑事課からの電話でその事件は静かに幕を開けた。
以降、個人情報保護法ならびに関係法令を遵守する上で、警察官の氏名を含む当事者の氏名等は全てイニシャル表示いたしますこと、予めご了承いただきたい。
15時39分、Y刑事からY・Tさんという方の変死体が発見されたと特命探偵事務所に入電!
[お断り]
変死体が発見されただけで、警察はいちいち探偵事務所に電話してこないのは周知の事実であることを申し添えます。
電話での内容は、「遺体が特命探偵事務所(代表者)の名刺を握りしめて亡くなっていた」というもので、何らかの事情を知っていればご協力願いたいというものであった。
状況判断では事件と事故の両面で捜査中につき、詳細については話せないとのこと…
警察官の職務上、当然のことであります!
そこで、弊社は自社の電話問い合わせ記録簿、ならびに相談記録を検索してみることにした。
なんと…該当者1名アリ!
平成28年4月12日19時44分、Y・Tさんから入電!
電話の内容は「今、相談した弁護士事務所から特命探偵事務所を紹介されたので、これから伺ってご相談したいことがあります」というものであった。
平成28年4月12日20時00分、Y・Tさんと女性のMさんが来社。
故人のプライベートの内容に触れますので、簡単にご説明すると、Y・Tさんには妻子があり家庭環境には何ら問題がないごく普通の家庭であった。
ある日、会社の部下であり同僚の女性Mさんから、夫のDVと別居してから執拗なまでのつきまといについて相談を受けるようになり、相談を受けているといつしか男女の仲に発展。
MさんのDV夫は、その男女関係が明るみになったことで、婚姻関係が破綻しているにも関わらず、徐々にMさんにだけでなくY・Tさんにまで攻撃的になっていったという。
探偵事務所では、民法上の不貞行為に該当する者のご依頼は、不法行為に加担する行為に抵触するものと解釈され、内容にもよるが公序良俗において調査を受けることは出来ない。
それでは2人が探偵事務所にどのような用事があったのか?
2人は、今にも泣き出しそうな表情で、自身の行為行動を恥ぢ、悔やみ、MさんのDV夫から受ける精神的ダメージを赤裸々に話し、Mさんの車やY・Tさんの車にGPSが付けられていないかを調べて欲しいとの内容であった。
おっと、少し話が過ぎてしまいました。
その後2人がどうなったかは我々に知る由もなく、調査実施の有無や内容、結果等はプライバシーに関わるものでもありますので、重んじて控えさせていただきます。
そして平成30年1月現在の話しへと続くのですが、現在も捜査中であることからこの続きは次回お話させていただきたいと思います。
次回「ダイイングメッセージ 後編」まで少々お待ちください。
特命探偵事務所